その4のつづき
前回に引き続き岐阜繊維問屋街を散策します。
そもそもどうしてこの地に繊維問屋街ができたのかを調べてみました。
戦後、北満州から引き揚げた方々が焼け野原となった国鉄岐阜駅前にバラック小屋を建て、軍服や古着を売りはじめたのが起源のようです。当時は「ハルピン街」と呼ばれていたそう。(出典:岐阜婦人子供服工業組合WEBサイトより)
▲そういえばこんな屋号が付いた建物がまだ現存していました。建物の染みや長&斜体の明朝体からも歴史を読み取っていましたが、まさか1940年代と繋がるとは…。
ではEくんとの散歩に戻ります。
▲いまのこども達にも理解してもらえそうな70sテイストの可愛らしいキャラクター。文字にも●が多用されており、漢字とは思えないポップな印象がしてきますが…
▲…直後、毛皮にされるであろうウサギさんのキャラ…というか図案付きの看板。Eくんにはあまり見せたくないリアルな描写です。……ぜったい見てただろうけど。「製」の字の「衣」が串刺しになっています。
▲「製」が続きます。一見、無個性なこの突き出し看板には2つの字形の「製」が!「ポ」の半濁点が小さいのもイイカナ〜
▲製造の「製」はグリフウィキでも見られるカタチに近いが「刂(りっとう)」が切れた格好になっていて小憎らしい。漢字字形の世界はただでさえ奥が深いのに、アクリル素材の制約から来る省略術も相俟って、見たことがない字形の漢字と出くわすことがしばしばあります。難しくて楽しい!
▲一方、縫製の「製」は「刂(りっとう)」が「与」のようなカタチになっています。機械の「機」同様、「製」も相当な字形のバリエーションがありそうです。
▲手書きの看板。注釈の送り仮名に片仮名が当てられています。
▲漢字も素敵なカタチをしていますが、筆一発で書かれたであろうカタカナも好きだなー。
▲馬偏の「灬(れっか)」 が略されている例は、まちの文字を注意深く見るようになってから、よく見かけるようになりました。▼新大阪駅の例
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ここまで繊維問屋街のほんの一部の「よき文字」をご紹介しましたが、これ以外にも素敵な看板文字を持つお店が数多く現存しています。ぜひ一度皆さんも足を運んでみてください。
シャッターが降りている店舗が多く、定休日の所為か閉店してしまった店なのかは判断が付きませんが、所々ではアーケードそのものの老朽化も見られました。
Eくんが大人になる頃には、ここいら一帯は再開発されているかもしれません。「昔、文字好きなオジサンと一緒にここを歩いたっけなー」とEくんは思い出してくれる仮名〜
▲素敵な装飾テントを持つフルーツ篠田さんにご協力いただき、記念写真を撮ってもらいました。
次回は最終回!
Eくんが採取した写真も見ながら、お互いの「よき文字」を発表します。