Round 4のつづき
まつむら
「機クラスタ」の皆さま、お待たせしました。
ふじもと
しかもIKEAカラ〜〜!
まつむら
といっても、東芝の制定書体の「機」だと思われます。
ふじもと
一画も略さない〝律機(りちぎ)〟タイプですね、これは。
まつむら
ほんとだ、糸の点までついてる!
ふじもと
「機」の字は本当にいろんな解釈とアレンジが日本中で見られ、「機」の字を愛でる「機クラスタ」という村が存在するレベルに愛されています。といっても僕ら二人を含む7〜8人の町内会サイズですけど(笑)
まつむら
ANIさんは「機」の字をオリジナルで作ったりしてますよね。
まつむら
そうだ! 略せるだけ略してますね〜
ふじもと
これは、分類するなら〝読めりゃええんじゃ機〟
まつむら
広島生まれか!?
ふじもと
コインスナックのロゴなので、コインは入れたかったんですよねどうしても(笑) そのほかにも、なんでもかんでも要素入れ込みすぎだろお前!っていう、ツッコミ欲を生じさせるようなロゴにしたかったのです。
まつむら
ツッコミ欲っていうか、愛しか感じませんが(笑) コイン投入口、効いてますよね。
ふじもと
自販機のシズル感(笑) 「モーニング娘。」とか「藤岡弘、」みたいな、最後に何か付ける系譜……
まつむら
(笑)
ふじもと
『自販機食堂』さんは群馬の伊勢崎に、あろうことか21世紀にもなって新規にオープンしたコインスナックです。ご興味持たれた方はぜひ検索してみてください。
まつむら
では次をおねがいします。
ふじもと
なんか思わず笑っちゃいませんかこの「む」(笑)
まつむら
むは〜〜
ふじもと
すごいこう、劇画タッチですよね。
まつむら
表情がありますね。
ふじもと
老舗のパーマやさんのウインドウに「男性 デザインパーマ アイパー」とか、そういう語句と一緒に描かれていがちな、「劇画ちっく男性」っているじゃないですか。
まつむら
ええ。
ふじもと
ああいう「スピード!スリル!セックス!」みたいな感じの、70年代劇画調のキャラクターが、ふとなにか不穏な事態に気付いての、「む」
まつむら
(妄想の方向性がすごいなこの人)
ふじもと
そんな雰囲気があります。
まつむら
(笑) 全体も見たいです!
ふじもと
じつは舞台は室蘭に移ってました(笑)
まつむら
まさか信金!?
ふじもと
信用金庫の「◯◯しん」系は、これも全国にあって、蒐集の価値ありな物件ですよね〜。なかでも「むろしん」はレアめじゃないだろうか(笑)
まつむら
断然カッコイイ!! 今まで見た中でもトップクラスというかトップです!
ふじもと
スピード感、シリアス感満点。
まつむら
ていうか自分も室蘭は訪れているのに、何を見てたんだろう……
ふじもと
これは、とりあえず車停めなきゃ、って東室蘭の長崎屋の屋上に停めたんですよ。この長崎屋もまた古くて良い感じの店舗で。
まつむら
車停めちゃうレベルですね。
ふじもと
長生きなスーパーやデパートの味わいポイントである、階段室、それから一階の靴・傘修理と鍵やさんコーナー。そこらへんをチェックしていたら、そのとなりにありました! 地元しんきんATM!
まつむら
いい流れ! 信金クラスタって、あるのかな。まとめて見てみたいですね。
「2016年(平成28年)3月31日現在、全国に265の信用金庫が存在する」(Wikipediaより)熱い!!
まつむら
(ここで見せたい。笑)
ふじもと
惜しいッ! これは「庫」じゃなくて「娘」なので、265のうちには含まれないのかッ!! しかし、「信用金庫 ロゴ」で検索すると……
まつむら
いくつか光ってるものもありますが……
ふじもと
ネコもシャクシもロゴをリニューアルした、コーポレート・アイデンティティ制定ブームの華やかなりしあの頃に、ウチも変えたんですよね! みたいな所が多いなぁ。ときどき、昔ながらの隷書とかレタリング明朝ロゴのオールドスクール信金も残ってて熱いですね。でもアレですよきっと、正式名称フル表記のほうじゃなくて、各信用金庫が愛称・略称として用意しているはずの「◯◯しん」ロゴのほうは、まだまだ美味しい物件多いと思いますよ!
まつむら
隷書、ぼくはまだ良さがわからず(笑)さっしん、とみしん、だいしん、ひめしん…… あたりも良さそうです。
まつむら
あ、いまおなじの貼ろうとしてた(笑)
まつむら
響きも良いですね。がましん。
ふじもと
こういうテイストの文字とマークで「やばしん」とか「おなしん」とか「でれしん」とか「つべしん」とか、そういうありえない信用金庫を立ち上げてみたいですね。
まつむら
立ち上げ(笑)!? いやでも、これだけいろいろ見ても「むろしん」サイコーです。
ふじもと
さて、では次……
ふじもと
うつくし〜〜! 鼻高々な感じがいい。
まつむら
土浦と水海道が混ざってますが、これは土浦。
ふじもと
凜としている。
まつむら
足長ですかね。脚太いけど。猛禽類。
ふじもと
そういえばもう「機」とか「美」とか、ひらがなじゃないよ(怒)!! いいけど!!
まつむら
(笑)ごめんなさい! 「よき文字」採取というルールで進めてしまいました。
ふじもと
「美容室」、全部左右対称にできちゃう系の字ヅラ物件〜
まつむら
すべてがシンメトリーなんてなかなかないですよね
ふじもと
左右対称にできる… !? と気付いた時に湧きおこる、詠み人の精神波動、あれはすごいものですよ。イデが発動しますよ。
まつむら
イデ(笑) でも「容」なんかも結構攻めてますよね。上にギュッと詰まってて。
ふじもと
『安楽亭』さんのロゴなんか、見るたび「うおぉぉ左右対称にしてみてぇぇっ!!」って身もだえます。
まつむら
あー、メジャー系がきました。アジアンな仕上がりが予想されますが……。その思考、詠み人ならではじゃないでしょうか(笑)
ふじもと
関係ないですけど、僕、安楽亭さんのロゴはアールヌーヴォーが香るような気がするんですよね。
まつむら
抑揚のある部分ですよね。わかります。
ふじもと
メトロポリスな感じですよね(笑)
まつむら
やはりこんなスタイルも、明治大正期のトレンドにありましたよね。夢二が活躍したヌーヴォー期。言われてみると、その名残を感じます!「楽」に。「安」のおとなしいハライにも、その調子を感じますかね。
ふじもと
もう、まちの文字を見れば見ていくほど、日本のまち文字スタイルは大正〜昭和初期に生じたニホンゴタイポ・ビッグバンの背景放射の影響から逃れられないのか!? みたいに感じられますよね。
まつむら
奇しくもそんな流れになってきましたね。
ふじもと
せ! 極めて勢いのある「せ」(笑)
まつむら
せいっ! この配色(笑)
ふじもと
東室蘭の、枯れた魅力漂う飲み屋街、朝っぱらから歩き回りました。ホントすごかった。ボッコンボッコン大物がかかった。これはその中でもいかす墨痕。
まつむら
平仮名以外の字も拝見したいですな。一文字目の「せ」かー。
ふじもと
まちまちに書家がいるんですね〜 っていう思いが湧きますね。こういう看板に接すると。
まつむら
控えめな「き」とのバランスが、もう「書」ですよね。
ふじもと
「せ」や「ぐ」の力感と、「き」のひかえめ感の温度差すごいです(笑) 対流が起こるレベル。
まつむら
ヨコ組みの『清酒 白雪』のロゴ添えも美しさを倍増させています。なのに「居酒屋料理」の勘亭流ときたら。
まつむら
「正宗」は何度見てもカッコイイです。ジオメトリックに進化する伝統文字…。だれかに説いてもらいたい。
ふじもと
いつか日本酒ラベルの文字をつくってみたいんです。夢のひとつ。ちゃんと三升くらい飲んで、ガッチリテイストを理解した上で作字してみたい。
まつむら
三升!! ちょっと脱線しますが、筆文字パートの「ハライ」部分に、細かい線が用いられますよね。ここ、誰かに「必ず奇数になってる」と聞いたんですが、思いっきり二本ですね、正宗(笑)
ふじもと
これ、ひげ文字のルールとして、ふたつに分かれる偶数は「別れる」に通じて縁起が悪いとされて、本数は奇数であれかし! というルールがあると教わったのですが、
まつむら
やはりあるんですね。
ふじもと
江戸文字の職人の方がおっしゃっていたことだそうで、江戸文字独自のルールなのかもしれないですね。
まつむら
ルールの伝承も難しいものだと感じますな〜。
ふじもと
自分はこういうスタイルで作字をする機会があったら、さりげなくヒゲの本数は奇数でいきたいな〜と思っています。隠された〝粋〟を継承してみたい!
まつむら
継承よろしくお願いします!
Round 6へつづく!